ロケットの推進性能の評価基準
概要
ロケットの性能評価軸についてまとめる。 主に以下の5つの指標により評価される。
- 推進力
- 速度増加
- 比推力
- 質量比
- 打ち上げ性能
また、各々の指標の算出方法については扱わない。
推進力
ロケットを前進させるために必要な推進力。 推力は定義上、瞬間的に機体に作用する力であるが、実用上は 単位時間あたりに何ニュートン推進する力があるかという評価のされかたをする。 現在稼働しているすべてのロケットは多段方式のロケットであり、その第1弾ロケットが全推力の90%前後のパフォーマンスを出す構成になっているようだ。 それだけ実質大気層に重い物質を送り出すのは大変なようだ。
速度増加
ロケットを作動させて、すべての燃料を使い果たしたあとに獲得するロケットの速度。 ペイロードが、獲得する速度により周回軌道のどこまで達せられるのか、またはその外まで送り出せるのかが決定される。
比推力
エンジン性能を表すもので、単位時間当たり、単位重量の燃料を消費することで得られる推力と定義される。 この性能は推進薬の組み合わせや混合比、燃焼圧、ノズル膨張比などさまざまなパラメーターにより決定される。 燃費とかに近い概念?
質量比
ロケット構造体の軽量化の度合いを表すもの。 機体の重量に対してどれくらいの燃料が充填されているか、というもの。 現在のロケットは質量比10%程度に収まるようだ。この場合、残りは推進薬ということになる。
打ち上げ性能
その機体を打ち上げたらどれくらいの重量のペイロードを宇宙空間に運ぶことができるかというもの。 LEO(低高度地球周回円軌道)、GTO(静止トランスファ軌道)、SSO(太陽同期軌道)でどれくらいの質量のペイロードを運べるか。
実際のロケットで比較
ロケット名 | 発射時総重量(トン) | 比推量(Isp[s]) | 質量比 | LEO | GTO | SSO |
---|---|---|---|---|---|---|
Ariane 5G | 746 | 431.2 | 7.3 | - | 6.7 | 9.5 |
Atlas 5 | 565 | 337.8 | 11.9 | 20.5 | 8.7 | - |
Delta 4 | 388 | 409 | 8.0 | 13.4 | 6.8 | 10.5 |
ソユーズ 2 | 310 | 319 | 11.9 | 7.9 | 2.0 | 4.5 |
長征 2F | 425.8 | 260.7 | 12.1 | 11.2 | 5.1 | 6.0 |
H-2A | 289 | 440 | 7.5 | 10.0 | 4.0 | 4.0 |
H-2AがTOPの比推力のパフォーマンスを発揮しているのに対して、ペイロードを運ぶには少し他のロケットに対して劣る。 多くのペイロードを周回軌道に贈りたいのであればAtlas 5当たりを使うしかないようだ。 ちなみに現在SpaceX社で開発中のStarShipはペイロードを100トン載せれるという化け物級のロケットである。(LEO)
https://www.spacex.com/vehicles/starship/
まとめ
ロケットのパフォーマンス指標をまとめた。 自分もまだまだ理解しきれていない部分もあるが、少しでも知識の補助になったのあれば嬉しい。